商標Q&A≪中間段階編≫ 

今後,適宜,加筆,修正,図の追加,見やすくアレンジ等いたします。 ご参考になれば幸いです。

質問

Q1.商標登録までどのくらい時間がかかりますか?
Q2.登録まで時間がかかる理由は?
Q3.商標の審査とは?
Q4.商標登録の要件とは? 
Q5.識別力とは?
Q6.識別力が無いとは?
Q7.登録できない商標とは?
Q8.拒絶理由通知書とは?
Q9.拒絶理由を解消する方法は?
Q10.拒絶理由を解消できない,何も対応しない場合は?
Q11.商標権の侵害とは?
Q12.拒絶査定とは?
Q13.拒絶査定に不服がある場合は?
Q14.拒絶査定不服審判とは?
Q15.拒絶理由が解消した場合は?
Q16.登録査定とはどんな書面?
Q17.登録査定又は登録審決の後の手続は?
Q18.早期審査制度とは?
Q19.どうすれば早期審査制度を利用できますか?
Q20.出願中に商標を変えることはできますか?
Q21.出願中に願書に記載した商品や役務を変更できますか?
Q22.出願中に商標に®や「TM」を付けてもよいですか?
Q23.出願人の識別番号とは?
Q24.商標登録後に住所を変更しましたが,変更の手続は必要ですか?
Q25.自分自身で出願した商標や他の代理人を使って出願した商標の案件を持ち込んで、新たに代理人になってもらうことは可能ですか?


以下,ご回答いたします。

Q1.
商標登録までどのくらい時間がかかりますか?
早期審査制度(後述)を利用しない場合,通常,出願から最初のアクション(登録可否の判断)までに8ヶ月から10ヶ月程度かかります。
商標登録を認めるとの判断が出た場合,その後,商標権が発生するまでさらに1~2か月はかかります。

「拒絶理由通知」(後述)を受けると登録OKの判断が出るまでの期間がさらに長くなります。
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Q2.
登録まで時間がかかる理由は?
特許庁で審査官が登録可能かどうかを判断する順番が回ってくるまでに時間がかかるからです。
特許庁には年間12万件以上の商標登録出願がなされており,これを複数の審査官が分担して一生懸命審査していますがすぐに順番は回ってきません。
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Q3.
商標の審査とは?
特許庁の審査官が,出願された商標の登録を認めるかどうかを検討することです。
商標権の発生前に審査がされるので,登録後に安心して使用することができます。
この点,著作権は,全く審査せずに権利が発生するのでトラブルの種になりがちです。
ちなみに,審査をせずに商標登録する国もあります。
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Q4.
商標登録の要件とは?
大きく2つの要件があります。

一つは,願書で指定した商品又は役務との関係で,商標が「識別力」を有するものであること,
もう一つは,「商標登録できない商標ではないこと」です。
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Q5.
識別力とは?
「商標」は,取り扱う商品,提供する役務(サービス)を,他人のものと区別するための目印です。
目印であるためには当然目印になるだけの力(機能)を備えていなければなりません。
商標がこの「識別力」を備えていることが登録の条件となります。以下に識別力が無いとされる例を記載します。
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Q6.
識別力が無いとは?
以下のような商標は識別力が無い,と判断されます。ただし,例外もあります。

・普通名称からなる商標

 商品「サニーレタス」に商標「サニーレタス」
 商品「スマートフォン」に商標「スマホ」

・慣用された商標

 商品「自動車の部品,付属品」に商標「純正」,「純正部品」
 商品「清酒」に商標「正宗」
 役務「婚礼の執行」に商標「赤色及び白色の組合せの色彩」
 役務「葬儀の執行」に商標「黒色及び白色の組合せの色彩」
 商品「焼き芋」に商標「石焼き芋の売り声」
 役務「屋台における中華そばの提供」に商標「夜鳴きそばのチャルメラの音」

・商品の産地,販売地,品質その他の特徴等の表示又は役務の提供の場所,質その他の特徴等の表示

 原材料:バッグに商標「革」
 用途:自転車に商標「通学」
 価格:商標「1,000円」
 提供時期:商標「正月」
 色彩:「自動車用タイヤ」に「黒色」
 役務の「質」:「放送番組の制作」に商標「ニュース」
 「録音済みコンパクトディスクの貸与」に商標「日本民謡集」
 商品の「品質」:商品「書籍」に商標「商標法」

 通常発する音:商品「炭酸飲料」に「『シュワシュワ』という泡のはじける音」

・ありふれた氏・名称

 「小林」・「佐藤」・「日本」・「薩摩」

・極めて簡単で,かつ,ありふれた標章

 数字,ローマ字の1字又は2字,「トウェルブ」,「じゅうに」
 1本の直線,波線,輪郭として一般的に用いられる△,□,○,◇

・需要者が誰かの業務に係る商品又は役務であるかを認識することができない商標

 単位,現元号,単なる地模様,自然音を認識させる音
 「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」に商標「さくら」「愛」,「純」,「ゆき」,「蘭」
 商品「焼肉のたれ」の広告における「ビールを注ぐ『コポコポ』という効果音」 
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Q7.
登録できない商標とは?
・他人の登録商標と同一・類似+その商品・役務と同一・類似の商品・役務について出願された商標,
・国旗,赤十字の標章,都道府県の有名なマーク,
・差別的な文字・図形,特定の歴史上の人物名,
・現存する他人の氏名,
・救急車のサイレンの音,国歌,
・種苗法で登録された品種の名称,
などです。
「同一・類似」に関しましては別の箇所で説明します。
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Q8.
拒絶理由通知書とは?
審査の結果,登録できない商標と判断したときに,出願人にその判断に対して意見がないかどうかを問う通知です。
拒絶理由通知書例

この判断に意見がある場合,通常,この通知があった日から40日以内に対応しなければなりません。
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Q9.
拒絶理由を解消する方法は?

(1)指定した商品・役務を変更できない場合

他人の登録商標と似ているとされた場合,
a)反論する(意見書の作成提出),
b)その商標権を買い取ってしまう,
c)その登録を不使用取消審判で取り消す,
d)その他人に一旦出願を譲渡し,登録査定後に戻してもらう,
e)その商標権を持っている会社自体を買い取る,
などいろいろ手段があります。
登録後に使用されていない商標は多いので,(c)で登録を取り消すのは有効な手段です。

(2)指定した商品・役務の変更が可能な場合

複数の商品・役務を指定して出願し,そのうちの一部の商品等に拒絶理由があるとします。
その拒絶理由が意見書での反論等でも覆らないと考えられる場合,その一部の商品・役務を削る等の補正を行うことができます(手続補正書の作成提出)。
また,出願を分割することも考えられます。
出願を指定商品・役務で分けることです。
問題が無い部分と問題がある部分とを分け,問題が無い部分は残し,問題がある部分は分けた出願の方で反論することなどが可能です。 
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Q10.
拒絶理由を解消できない,何も対応しない場合は?
出願は「拒絶査定」となります。審査段階での登録できないとする最終判断となります。

同一・類似する他人の登録商標があるとして拒絶査定となり,商標の使用を続けるとその商標権の侵害に問われるおそれがあります。
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Q11.
商標権の侵害とは?
他人の商標権の効力範囲内で,自分の商標の使用をすることです。
他人の登録商標と全く同一でなくても,似ている範囲で使用をしても商標権侵害となります。「類似」かどうかの判断が大事となります。
商標を使用しようとする場合,このような他人の登録商標が無いかどうか調べる「商標調査」が大事です。

故意に(存在を知りながら)商標権を侵害すると,法人の場合は3億円以下の罰金,法人の代表者には1000万円以下の罰金若しくは10年以下の懲役又はこれを併科されます。

この点については,商標登録後のQ&A≪登録後の段階編≫でも説明いたします。
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Q12.
拒絶査定とは?
審査官による,審査段階で商標登録を認めない,とする最終判断です。「拒絶査定」というタイトルが付いた書面が出されます。
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Q13.
拒絶査定に不服がある場合は?
「審査」ではなく,「審判」というステージで争うことができます。「拒絶査定不服審判」といいます。
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Q14.
拒絶査定不服審判とは?
審査段階と異なり,複数の審判官の合議体が判断します。
審査より慎重に登録可否判断がなされます。また,実際の使用状況・業界での認識が考慮される傾向にあります。
審判で結論が出るまでに1年~2年かかる場合もあります。
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Q15.
拒絶理由が解消した場合は?
「登録査定」がなされます。登録を認めるという審査での判断です。「登録査定」という書面が送られてきます。
審判段階で拒絶理由が解消した場合は,「登録審決」というものが出ます。
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Q16.
登録査定とはどんな書面?
以下のようなものです。
登録査定例
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Q17.
登録査定又は登録審決の後の手続は?
商標を登録するための登録料を出願段階の費用とは別に納付します。
納付後,特許庁に登録され,この時に商標権が発生します。

登録料の納付は30日以内に行わなければなりません。
30日は,登録査定(審決)が出願人又は代理人に送付された日から計算します。
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Q18.
早期審査制度とは?
通常の出願に優先して早く審査が開始される制度です。手続きをしてから2か月程度で審査結果が出ます。

出願前・後に,商標の使用を開始している場合,使用開始までの状況が具体的に明らかな場合,には利用をお勧めします。
なお,この制度を利用するにあたり,特許庁に支払うべき費用はありませんが,通常,弁理士が書類を準備する費用が発生します。
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Q19.
どうすれば早期審査制度を利用できますか?
「早期審査に関する事情説明書」を提出します。

以下のいずれかの状況であることが必要です。

(1)出願人・ライセンシーが,出願した商標を指定商品・役務に使用している,又は使用の準備を相当程度進めていて,かつ,権利化について緊急性を要する状況があること

(2)出願人・ライセンシーが,出願した商標を指定商品・役務に既に使用している,又は使用の準備を相当程度進めている状況があること,及び,願書でその商品・役務のみを指定している状況があること 
*一定の条件下で,指定した商品等の一部だけについて上記の事実を示すことで早期審査を受けることができる場合があります。
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Q20.
出願中に商標の一部分を変えることはできますか?
商標の変更はできません。出願した段階で商標の内容は確定します。
その理由は,後から出願した人に不利益を与える場合があるからです。
すなわち,出願日が変わらずに出願後に変更がされれば,変更後の商標と同一・類似するものを出願している者に不利益となります。
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Q21.
出願中に願書に記載した商品や役務を変更できますか?
指定した商品や役務の数を減らしたり,商品や役務の範囲を縮めたりすることはできます。
しかしながら,指定した商品や役務の数を増やしたり,商品や役務の範囲を広げたり,似た表現のものに変えたりすることはできません。
出願した時にこれら商品・役務の範囲は確定します。出願後にその範囲が広がらないように制限しています。
したがって,出願の段階で願書に記載する指定商品・役務を適切に採択しなければなりません。適切であるかどうかを現在及び今後の業務との関係で十分検討する必要があります。
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Q22.
出願中に商標に®や「TM」を付けてもよいですか?
®や「TM」を付けることは商標法で禁止されていません。他人の無断使用を防ぐ意味から,そのような表示をするのは有効です。
一般的に,登録を受けた後に®を,出願中で登録前の商標に「TM」を付けることが行われています。
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Q23.
出願人の識別番号とは?
特許庁において事務の効率化を図るために出願人を特定する番号です。
識別番号通知

商標登録願(願書)に,出願人の住所(居所)・名称(氏名)を記載すると,特許庁が自動的に番号を付けます。
この番号によって出願人が特定されますので,住所等に変更があれば変更届の提出が必要となります。

住所等の変更届がなされると,識別番号が共通する限り,他に出願中のものについてもその変更の効果が及びます。
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Q24.
商標登録後に住所を変更しましたが,変更の手続は必要ですか?
商標法には登録商標の取り消しを求める制度があります(不使用取消審判)。取消しを求める書類は変更前の住所に送付されてしまいます。変更前の住所に送付された書類を入手できないと取消の求めに対応できません。
知らないうちに商標登録が取り消されてしまう危険がありますので住所の変更をお勧めします。
変更する場合は,「登録名義人の表示変更登録申請書」という書面を特許庁へ提出します。
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Q25.
自分自身で出願した商標や他の代理人を使って出願した商標の案件を持ち込んで、新たに代理人になってもらうことは可能ですか?
可能です。拒絶理由通知の対応,出願された内容と現在使用されている商標の内容との齟齬等でお困りの点があればいつでも『かりん国際知財事務所』へご相談ください。
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以上

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