意匠Q&A

(Q&Aで意匠のことを一部まとめてみました。適宜追加補充いたします。ご参考になれば幸いです。)

Q1.意匠登録の対象とは?

ある程度の数を量産できる工業製品(手作りも含む)が対象となります。

以下のものは全て登録されたものです。

自動車,船,飛行機,装身具,家屋,ねじ,包装紙,椅子とテーブルのセットなどの他,もなかの皮,押し寿司のような食品でも登録されます。
同じようなものを作って売れる、形のあるものなら基本的に何でも登録の対象となると言えます。

全体の形状の中で特徴のある一部分のみを登録することもできます。

特許での権利化が難しいもの(技術的には顕著な特徴が無いもの)であっても外観形状に機能的特徴があれば意匠によって安く早く権利を得ることもできます。

Q2.意匠出願をしたらすぐに意匠権が取れるのですか?
意匠出願してから通常,5ヶ月から7ヶ月かかります。

Q3.意匠権を得るまでにどのくらい費用がかかるのですか?
意匠権を得るための費用には,特許庁に支払う費用と,弁理士に依頼した場合に発生する費用とがあります。
特許庁に支払う費用は最低24,500円,弁理士に支払う費用は,事務所によりますが、120,000~150,000円程度です。
他の費用として,登録を得たい意匠を表すための図面又は写真代がかかる場合があります。

また,審査官が登録を認めないと判断した際に,その判断に反論するための意見書作成提出費用がかかる場合もあります。

Q4.費用はいつ払うのですか?
大きく分けて,意匠出願の時点,登録OKの判断の時点の二つの段階があります。
意匠出願の時点で特許庁に対する出願費用と弁理士費用が発生します。
その後,審査を経て登録OKとなればその時点で特許庁に登録料を,弁理士に手数料(通常,成功謝金と登録料納付代)を払います。
また,審査の段階でも意見書作成提出費用などが発生する場合があります。

Q5.自分自身で意匠出願することはできますか?
意匠の対象を特定し,図面等を用意できれば可能です。個人でも,会社でも出来ます。
個人で出願し,後で会社に出願を移すこともでき,逆もできます。
個人で登録すると、仮にその個人が属する会社の名義が変わっても意匠権は個人の手元に残るというメリットもあります。

Q6.弁理士に依頼する際に必要なものは何ですか?
(1)どのような商品・製品のどのようなデザイン(全体か部分のデザインか,部品のデザインか部品の部分のデザイン)かが分かる資料(設計図面や写真)
(2)出願人が会社であれば,その住所・名称,個人であれば住所・氏名の情報です。
(3)また,デザインを実際になした個人の住所(居所)及び氏名の情報です。

Q7.弁理士の役割は?
デザインのどこをどうのように権利化すべきかを検討します。全体のデザインより特徴ある部分で権利を取った方がよい場合があります。一方,全体も併せて権利化した方がデザインを保護できる場合もあります。
また,特許庁からいろいろな書類が届いたり,出願後に対応しなければならないことが生じたり,面倒なこともあります。登録後の年金の管理もしなければなりません。
さらに,登録後に意匠権を活用する・守る場合等において弁理士の役割は大きいものと考えます。

Q8.登録できないときは手数料を返金してもらえますか?
特許庁の費用は返金されません。弁理士の費用を返金する事務所はあります。ただ,返金するということは,ある意味責任逃れの途ができるものと思います。

Q9.出願件数が多い事務所は信頼できますか?
出願件数が多いことと事務所の信頼性とは全く関係ありません。適切な内容の意匠権が取得されているかどうかも件数だけで判断することはできません。

Q10.意匠を海外に出願できますか?
出来ます。直接海外の特定の国に出願することも、ヘーグ協定で同時に複数の国を指定して出願することも出来ます。弊所では主に東南アジア圏の出願のご依頼を頂戴しています。

Q11.電子出願とは?
インターネットを利用した出願です。特許事務所では出願は通常この「電子出願」によって手続きをします。

Q12.意匠の審査とは?
特許庁の審査官が,意匠の登録を認めるかどうかを判断することです。

Q13.意匠登録の要件とは?
大きく3つの要件があります。
(1)出願前にその意匠が公開されて新しさを失っていないこと,
(2)きわめて簡単に創作できたデザインではないこと,
(3)他人がすでに登録した意匠と同一・類似ではないこと,
です。
ただ,単純な形状であっても機能的に特徴のある部分であれば登録を受けることもあります。
また,出願前に公開していても一定条件で新しさがあると扱ってもらえる手続もあります。

Q14.拒絶理由通知書とは?
審査官が,審査の結果意匠登録できないと判断したときに,出願人にその判断に対して意見がないかどうかを問う通知です。
拒絶理由に不服がある場合,この通知があった日から40日以内に意見書提出等の対応しなければなりません。

Q15.拒絶理由を解消する方法は?
(1)すでに公開されている意匠や他人の意匠と類似していると判断された場合
引用されたものとの違いを主張します。この場合,単に2つの意匠を並べて互いの相違点を主張するのではありません。従来の意匠の状況などを踏まえいろいろな観点から最も注意を惹く部分はどこかといった検討をした上で違いを主張します(cf.自走式クレーン事件)。

(2)簡単に創作できたデザインと判断された場合
そのデザインが持つ従来にない機能,従来にない特徴を主張し,簡単ではなかったことを主張します。

Q16.拒絶理由を解消できない、何も対応しない場合は?
拒絶査定となります。
この場合,他人の登録意匠で権利が存続しているものと類似するとされていたとき、出願した意匠を実施するとその意匠権の侵害(後述)に問われるおそれがあります。

Q17.拒絶査定とは?
審査官による審査段階で登録を認めない、とする判断です。「拒絶査定」というタイトルが付いた書面が出されます。

Q18.拒絶査定に不服がある場合は?
審判というステージで争うことができます。拒絶査定不服審判といいます。この審判の請求は、約3か月以内にしなければなりません。

Q19.拒絶査定不服審判とは?
審査段階と異なり、複数の審判官が合議で判断しますので、より慎重に判断されます。別途、審判を請求するための費用が発生します。

Q20.拒絶理由が解消した場合は?
登録査定となります。審判段階で拒絶理由が解消した場合は、登録審決というものが出されます。

Q21.登録査定とは?
審査官による出願された意匠を登録すべき、という判断です。「登録査定」というタイトルが付いた書面が出されます。

Q22.登録査定又は登録審決の後の手続は?
意匠を登録するための登録料を出願段階の費用とは別に納付しなければなりません。納付後、特許庁に登録され、この段階で意匠権が発生します。
納付は登録査定(審決)が出願人又は代理人に送付されてから30日以内に行わなければなりません。

Q23.意匠権の長さは?
登録日から最長20年までです。1年ずつ登録料を支払うことも複数年,例えば20年分まとめて支払うこともできます。権利が消滅してしまうと同じか類似する意匠について再度登録を受けることはできません。

Q24.意匠権とは?
登録をうけた意匠及びこれに類似する意匠を独占排他的に実施できる権利です。業として(事業として)実施することができます。実施とは,デザインを用いた商品を製造したり販売したりする行為です。
この意匠権によって,意匠権者は独占的に意匠を実施して収益を得ることを可能とし,さらに新しいデザインを開発するための投資ができます。

Q25.意匠権は権利の幅が狭い?
意匠権は登録をうけた意匠及びこれに類似する意匠に及びます。
この権利が狭くて使い勝手が悪いとか考えている人もいます。
しかしながら,意匠権も相対的な権利です。
すなわち,すでに沢山の意匠が存在している分野での少しのデザイン変更で登録になったものであれば権利の幅は狭いかもしれません。そのような意匠権が沢山存在している分野ではわずかな違いで登録を受けることができるかもしれません。
一方,これまで世の中に無かったような斬新なデザインもあります。そのデザインが意匠登録されれば,これまで誰の権利も存在していなかった領域なので権利の幅は自ずと広くなります。
このように一概に意匠権の幅は狭いといったことはありません。

Q26.他人が勝手に実施したら?

他人が業として登録を受けた意匠やその類似範囲で実施をすれば,意匠権の侵害としてその実施を差止めたり,生じた損害を賠償してもらったりすることができます。また,信用を回復するための謝罪広告を出してもらうことも可能です。
悪質な場合は,刑事罰が与えられることもあります。法人が故意に侵害すれば3億円以下の罰金,その代表者は10年以下の懲役(又は/及び1000万円以下の罰金)となります。
意匠権は特許権と比べて権利の内容を把握しやすいというメリットがあります。登録を受けた意匠を意匠公報などによって相手方に見せれば権利の幅の解釈はともかく内容の理解が容易です。なので,場合によっては意匠権の方が権利活用をしやすいこともあります。

Q27.他人が勝手に実施をしているようですが?
まず,警告書(タイトルは「伺い書」でも何でもOK)を送り,相手の考えを確認します。その前に,相手方の実施状況を十分確認し,意匠権の効力範囲内で実施しているのかどうかの判断が必要です。その後,相手方次第で,差止や損害賠償を検討します。あらかじめ証拠を集めることも大事です。

Q28.日本の特許庁に意匠登録すれば海外にもその効力は及びますか?
及びません。意匠権の効力は日本国内だけです。海外での商品展開を計画されている場合は、その展開なさる国ごとに意匠権を取得しなければなりません。多数の国での意匠権が必要な場合には国際登録という制度を利用することができます。

Q29.意匠権は譲渡(売買)できますか?
できます。

Q30.意匠のライセンスはできますか?
できます。意匠権が共有の場合は他の共有者の同意が必要です。

Q31.意匠登録は一定期間実施しないと取り消されますか?
商標と異なり不実施による取り消し制度はありません。

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