著作権Q&A

Q

≪著作物≫
Q1.著作物とは?
Q2.著作物の具体例は?
Q3.著作物の形態は?
Q4.権利の目的とならない著作物は?
Q5.保護を受ける著作物は?

≪著作者≫
Q6.著作者とは誰のこと?
Q7.法人著作(職務著作)の場合は?
Q8.映画の著作物の場合は?

≪著作者の権利≫
Q9.著作者の権利とは?
Q10.著作者人格権とは?
Q11.著作権とは?
Q12.映画の著作物の著作権の帰属は?
Q13.著作物の保護期間(著作権の存続期間)は?
Q14.登録制度は?

≪著作物の利用≫
Q15.著作物を利用できる場合とは?
Q16.著作物を無断で利用できる場合とは?
Q17.著作権者から利用の許諾を受けて著作物を利用する場合とは?
Q18.著作権者から権利の譲渡を受けて著作物を利用する場合とは?
Q19.文化庁長官の裁定を受けて著作物を利用する場合とは?
Q20.出版権を設定する場合とは?

≪隣接する権利≫
Q21.隣接する権利とは?
Q22.実演家の権利とは?
Q23.レコード製作者の権利とは?
Q24.放送事業者の権利とは?
Q25.有線放送事業者の権利とは?

≪権利侵害≫
Q26.権利侵害とは?
Q27.権利侵害されたときの対応は?

≪著作物≫

Q1:「著作物とは?」
「著作物」とは、以下の4つの要件を満たすものをいいます。

<思想又は感情であること>
・著作者の精神的活動のことです。単純なデータなどは該当しません。

<創作的であること>
・著作者各自の主観的創作であれば足り、結果的に類似する作品となった場合であっても創作過程に模倣行為がなければ創作となります。
特許などの産業財産権で要求される客観的な新規性を意味しません。

<表現したものであること>
・著作者内部に留まったアイデアや思想感情ではなく、有形無形に表現されたものでないといけません。

<文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであること>
・高度な価値を要求するものではなく、著作者の知的創作活動の発露であるか否かを求めるものです。
この4つの範囲に属しない工業製品は著作物とはなりません。

Q2:「著作物の具体例は?」
著作物には、例えば以下のものがあります。これらはあくまでも例示であり、これら以外のものや、二以上の区分にまたがるものもあります。

<言語の著作物>
・小説、脚本、論文などの文字によって表現されたもの、講演、説教などの口頭によって伝達されるもの(事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は除く)

<音楽の著作物>
・楽曲、楽曲を伴う歌詞などの音によって表現されるもの

<舞踊又は無言劇の著作物>
・日本舞踊、バレエ、パントマイムなどの動作によって表現されるもの(「振付」を指し、「振り」そのものは実演に該当)

<美術の著作物>
・絵画、版画、彫刻、書、舞台美術、漫画、劇画などの造形的手法によって表現されるもの(純粋美術、美術工芸品を含む)

<建築の著作物>
・宮殿、城、寺院、橋梁、塔、庭園などの建築美を創作的に表現しているもの(ありふれたビル、住居等は該当しない)

<図形の著作物>
・地図、学術的な性質を有する図面、図表、模型などの図によって表現されるもの

<映画の著作物>
・劇場上映用の映画に加え、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されているもの(テレビドラマ、ホームビデオ、コンピュータゲームなど)

<写真の著作物>
・写真のほか、写真の製作方法に類似する方法を用いて表現されるもの(写真染め、グラビア、スナップ写真など)

<プログラムの著作物>
・電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの(プログラム言語、規約及び解法に及ばない)

Q3:「著作物の形態は?」
著作物には、以下の形態があります。これらの著作物の著作者の権利は原著作物や部分を構成する著作物の著作者の権利に影響しません。

<原著作物>
・もととなった著作物

<二次的著作物>
・原著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、その他翻案した著作物

<編集著作物>
・素材の選択又は配列によって創作性を有する著作物

<データベースの著作物>
・情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するデータベース(電子計算機により検索できるように体系的に構成された論文、数値、図形その他の情報の集合物)

<共同著作物>
・二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの(座談会など。なお、個別に分離して利用できるものは集合著作物、一体的に創作されたが分離して利用できるものは結合著作物という)

Q4:「権利の目的とならない著作物は?」
次の著作物は、著作者の権利の目的となることができません。

・憲法その他の法令
・国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
・裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
・上記3つの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの

Q5:「保護を受ける著作物とは?」
保護を受けることができる著作物は、次のとおりです。

・日本国民の著作物
・最初に国内で発行された著作物
・最初に国外で発行され、その日から30日以内に国内で発行された著作物
・条約等により我が国が保護の義務を負う著作物(著作権に関する国際条約:ベルヌ条約、万国著作権条約、WTO(世界貿易機関)協定など)

≪著作者≫

Q6:「著作者とは誰のこと?」
著作者とは、「著作物を創作する者」のことをいいます。
著作物の創作を業としているプロの者に限らず、小学生でも自分の作文や絵画の著作者となります。
一方、著作物創作の企画を発案した者や、著作物創作のための資金を拠出した者は著作者とはなりません。
あくまで、著作物の「創作行為を実際に行った者」が著作者となります。

ここで、著作物の著作行為は秘匿されて行われることも多く、いつ誰が創作したかの立証が難しいことから、著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供提示の際に、「実名」(氏名又は名称)、周知の「変名」(雅号、筆名、略称その他の代名)が著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する、とされています。
「推定する」とは、反証がない限り、著作者として取り扱われることを意味します。

Q7:「法人著作(職務著作)の場合は?」
本来的には、著作物の創作を行うのは自然人です。
しかし、法人において、その従業者が複数で共同して著作物を作成することは社会においてよく行われることです。そのような場合に個々の従業者を著作者とすると実情に合わなくなってしまいます。
そこで、以下の5つの要件を満たすときには、法人を著作者(法人著作)とすることが定められています。
要件の1つでも欠きますと、複数の従業者による共同著作物となります。
「法人」は、法人格を有するものと、有しない社団財団で代表者の定めがあるものの両方を含みます。

<法人の発意に基づくこと>
・法人の直接間接の判断によるものであり、雇用関係がある場合には、個別具体的な指示がない場合も含みます。

<法人の業務に従事する者が作成すること>
・雇用関係のない部外者に外注するような場合は含まれません。
派遣労働者は業務に従事する者に当たります。

<職務上作成されるものであること>
・従業者が独自に作成する場合は含まれません。

<法人が自己の著作名義の下に公表するものであること>
・公表、未公表、公表予定なしのものも含め、法人名義で公表した、又は公表が想定されているものをいいます。
なお、プログラムの著作物については、公表しないことが多いという実情に鑑み、この要件は適用されません。

<作成時における契約、勤務規則等に別段の定めがないこと>
・従業者に著作権があるという別段の定めがなければ、法人が著作者となります。

Q8:「映画の著作物の場合は?」
映画の著作物は共同著作物の1つですが、その著作者は、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当して映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とされます。
なお、その著作物において翻案又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除きます。
部分的な寄与に留まる、例えば助監督やカメラ助手は含まれません。
また、例えば、映画会社が自社の従業者のみに作成させたようなニュース映画は、前述した5つの要件を満たせば法人著作となり、社内のディレクター等の個人は著作者になりません。
なお、後述しますように、著作権が映画製作者に帰属した場合には、映画の著作物の著作者は著作者人格権のみを有することになります。

≪著作者の権利≫

Q9:「著作者の権利とは?」
著作者は、人格権としての「著作権人格権」と、財産権としての「(狭義の)著作権」を享有します。
実社会では両方を合わせて「(広義の)著作権」ということがありますが、著作権法では、狭義の財産権の意味で「著作権」という用語を使っています。

これらの権利の享有には、いかなる方式の履行も必要ありません。
すなわち、著作者の権利は、著作物の創作と同時に発生し、特許などの産業財産権で行われるような権利の設定の登録という制度はありません。
また、後ほど説明します保護期間についても、権利の維持のために登録料を納付するということもありません。

Q10:「著作者人格権とは?」
著作者人格権とは、著作者の思想感情の表現である著作物を他人が勝手に公表したり、内容を変えて利用したりするような場合には著作者の人格的利益が損なわれるおそれがあるため、これを道義的な観点にとどめず法律上の権利として保護しているものです。

著作者人格権は、このような性格上、著作者固有の権利として譲渡することができない一身専属的な権利です。
著作者が存しなくなった場合(自然人であれば他界した場合)には、消滅します。
ただし、故人となっても、著作者が存しているならば(自然人であれば存命中ならば)著作者人格権の侵害となるべき行為はしてはならないとされています。

著作者人格権には、以下のものがあります。

・「公表権」
・「氏名表示権」
・「同一性保持権」

Q10a:「公表権とは?」
著作者は、未公表の著作物(著作者の同意を得ないで公表された著作物を含む)を公衆に提供提示する権利、すなわち、公表するか否か、公表する場合にはその時期や方法等を決定する権利を有します。
当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様です。
著作者は、次の場合にはそれぞれに示す行為について同意したと推定されます。
このほか、法律により同意したものとみなされる場合もあります。

・未公表の著作物の著作権を譲渡した場合には、当該著作物を著作権の行使により公衆に提供提示すること。
・未公表の美術の著作物又は写真の著作物の原作品を譲渡した場合には、原作品による展示の方法で公衆に提示すること。
・映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属した場合には、当該著作物を著作権の行使により公衆に提供提示すること。

Q10b:「氏名表示権とは?」
著作者は、著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供提示に際し、実名、変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しない権利を有します。
ペンネームや匿名としたいという著作者の意向を尊重する趣旨です。
その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様です。

著作物の利用者は、以下のように対応することができます。
・著作物の利用者は、著作者の別段の意思表示がない限り、著作物にすでに著作者が表示しているところに従って著作者名を表示することができます。
・著作者名の表示は、公正な慣行に反しない限り、省略することができます。
著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときです。

Q10c:「同一性保持権とは?」
著作者は、著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けません。
ただし、次の場合に該当する改変については、適用されません。

・著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの
・建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変
・特定の電子計算機においては実行し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において実行し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に実行し得るようにするために必要な改変
・著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変

Q11:「著作権とは?」
著作権は、譲渡可能な財産権であり、英語で「コピーライト」と呼ばれるように、著作者が著作物を複製する権利を専有することが基本となっています。
そして、著作物はその種類に応じていろいろな利用形態があり得ることから、「複製権」を筆頭として以下の権利(講学上、「支分権」と呼ばれます)の束となっています。
「専有する」とは、その権利を自らが独占できる(独占権)とともに他人の当該行為を排除できる(排他権)のことを意味しています。

・「複製権」
・「上演権及び演奏権」
・「上映権」
・「公衆送信権等」
・「口述権」
・「展示権」
・「頒布権」
・「譲渡権」
・「貸与権」
・「翻訳権、編曲権、変形権、翻案権」
・「二次的著作物の利用権」

Q11a:「複製権とは?」
著作者は、自己の著作物を複製する権利を専有します。著作権の基本となる権利です。
複製とは、印刷(例:出版)、写真、複写(例:複写機でコピー)、録音(例:講演をテープにとる)、録画(テレビ放送をビデオにとる)その他の方法(例:手書きで模写する)により有形的に再製することをいいます。

次の場合も含みます。
・演劇用の著作物については、上演、放送、有線放送されたものを録音、録画すること。
・建築の著作物については、図面に従って建築物を完成すること。

Q11b:「上演権及び演奏権」
著作者は、自己の著作物を公に上演(演奏以外の方法により著作物を演ずること)、演奏(歌唱を含む)する権利を専有します。
「公に」とは、「不特定の者又は特定多数の者に直接見せ又は聞かせることを目的として」いることをいいます(以下同様です)。

Q11c:「上映権」
著作者は、著作物を公に上映(著作物を映写幕その他の物に映写すること)する権利を専有します。
上映権は、映画のみならず、すべての著作物について視覚的又は視聴覚的に提示する権利として働きます。
動画、静止画ともに対象となります。

Q11d:「公衆送信権等」
著作者は、著作物について、公衆送信を行う権利を専有します。
公衆送信とは、公衆によって直接受信されることを目的として無線又は有線通信の送信を行うことです。
公衆の求めに応じて自動的に送信する自動公衆送信の場合は、送信可能化<アップロードなど>を含みます。
また、著作者は、公衆送信される著作物について、受信装置を用いて公に伝達する権利を専有します。

Q11e:「口述権」
著作者は、言語の著作物を公に口述(朗読その他方法により著作物を口頭で伝達すること)する権利を専有します。

Q11f:「展示権」
著作者は、美術の著作物又は未発行の写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有します。
写真の著作物には「未発行の」という条件がふされています。
これは、美術の著作物とは異なり、写真の著作物は原作品と複製物の区別が困難なことから、未発行のものに限って展示権を認めたものです。

Q11g:「頒布権」
著作者は、映画の著作物をその複製物により頒布(有償無償問わず複製物を公衆に譲渡貸与すること)する権利を専有します。
また、著作者は、映画の著作物において複製されている著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有します。
「頒布」には、映画製作者が映画館にフィルム配給することに加え、ビデオの販売やレンタルも含まれます。

Q11h:「譲渡権」
著作者は、著作物(映画の著作物を除く)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあっては、当該映画の著作物の複製物を除く)の譲渡により公衆に提供する権利を専有します。
流通秩序に影響を与えないため、一旦適法に譲渡された著作物のその後の譲渡には、権利が及びません。

Q11i:「貸与権」
著作者は、著作物(映画の著作物を除く)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあっては、当該映画の著作物の複製物を除く)の貸与により公衆に提供する権利を専有します。

Q11j:「翻訳権、編曲権、変形権、翻案権」
著作者は、著作物を翻訳し(言語を他の言語にする)、編曲し(例:楽曲をアレンジ)、変形し(例:表現形式の変更(絵画⇒彫刻))、脚色し、映画化し、その他翻案する(ストーリー性・基本的モチーフの内面形式を維持しつつ具体的な表現である外面形式を変える)権利を専有します。
原著作物に新たな創作行為を加えて二次的著作物を創作する権利となります。
内面形式に変更を及ぼさなければ、著作者人格権の同一性保持権と衝突しません。

Q11k:「二次的著作物の利用権」
二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有します。
なお、原著作物の著作者の許諾なく創作された場合も二次的著作物は成立します。

Q12:「映画の著作物の著作権の帰属は?」
映画の著作物(法人著作(職務著作)、放送事業者、有線放送事業者を除く)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者(映画の著作物の製作に発意と責任を有する者)に帰属します。
専ら放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物(法人著作(職務著作)を除く)の著作権は、映画製作者としての当該放送事業者に帰属します。
また、専ら有線放送事業者が有線放送のための技術的手段として製作する映画の著作物(法人著作(職務著作)を除く)の著作権は、映画製作者としての当該有線放送事業者に帰属します。

Q13:「著作物の保護期間(著作権の存続期間)は?」
著作権法では、著作者の権利を定め、その保護を一義的な目的としていますが、併せて、文化的所産たる著作物の公正な利用にも配慮しています。
その一環として、一定期間の経過後には誰でも自由に著作物を利用できるようにするため、著作権の存続期間(著作物からみた場合は、著作物の保護期間といいます)が設定されており、その満了によって著作権を消滅させることとしています。
著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まることですべての著作物に共通しますが、存続期間の満了は、著作物の種類によって異なります。

Q13a:「自然人が実名で公表した著作物に係る著作権の存続期間の満了は?」
この場合、著作者の死後(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者の死後)70年を経過するまでの間、著作権は存続します。
したがって、ある著作者が複数の著作物を創作したとき、作品の創作ごとに著作権は発生し、その著作者の死後70年を経過した時点で、すべての作品の著作権が一斉に消滅することになります。

Q13b:「自然人が無名又は変名で公表した著作物に係る著作権の存続期間の満了は?」
この場合、著作者を特定できないことから、公表後70年を経過するまでの間、著作権は存続することとしています。

ただし、次の場合には、著作者の死後70年で満了します。
・著作物の公表後70年内にその著作者の死後70年を経過していることが明らかなとき。
・著作者の変名がその者のものとして周知であるとき。
・著作物の公表後70年内に「実名の登録」があったとき。
・著作物の公表後70年内に著作者が実名又は周知の変名を著作者名として表示して著作物を公表したとき。

Q13c:「団体名義の著作物に係る著作権の存続期間の満了は?」
法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、著作物の公表後70年(著作物が創作後70年以内に公表されなかったときは、創作後70年)を経過するまでの間、存続します。

なお、この定めは、次の場合には適用されません。
・法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作者である個人が上記期間内に実名又は周知の変名を著作者名として表示して著作物を公表したとき。

Q13d:「映画の著作物に係る著作権の存続期間の満了は?」
映画の著作物の著作権は、著作物の公表後70年(著作物が創作後70年以内に公表されなかつたときは、創作後70年)を経過するまでの間、存続します。
映画の著作物の著作権が存続期間の満了により消滅したときは、当該映画の著作物の利用に関する原著作物の著作権は、当該映画の著作物の著作権とともに消滅したものとされます。

Q13e:「継続的刊行物等の公表の時は?」
Q13b~dにおける公表の時は、冊、号又は回を追って公表する著作物については、毎冊、毎号又は毎回の公表の時によるものとし、一部分ずつを逐次公表して完成する著作物については、最終部分の公表の時によるものとされます。
なお、逐次公表して完成する著作物について、継続すべき部分が直近の公表の時から3年を経過しても公表されないときは、すでに公表されたもののうちの最終の部分をもって最終部分とみなされます。

Q13f:「保護期間の計算方法は?」
著作者の死後70年、著作物の公表後70年、創作後70年の期間を計算するときは、簡便に計算できるように、著作者が死亡した日、著作物が公表された日、著作物が創作された日のそれぞれ属する年の翌年の1月1日から起算されます。したがって、それぞれの満了日は、70年後の12月31日となります。

Q14:「登録制度は?」
著作者、著作権者などは、以下の登録を文化庁長官に申請することができ、文化庁長官は、申請を受けて著作権登録原簿に登録します。
著作者の権利は著作物の創作と同時に発生するので、この登録制度は権利を発生させるためのものではありません。
取引の安全を確保したり、事実関係を公示したりするためのものです。ご注意ください。

登録には、以下のものがあります。
・「実名の登録」
・「第一発行年月日、第一公表年月日の登録」
・「創作年月日の登録」
・「著作権の登録」

Q14a:「実名の登録とは?」
無名又は変名で公表された著作物の著作者は、「実名登録申請書」(添付資料付き)をもって、著作物の題号を記載の上で自分の実名(本名)を登録することができます。
これにより、反証がない限り、当該著作物の著作者と推定されます。
実名で公表したとき同様に、著作物の保護期間は著作者の死後70年までとなります。

Q14b:「第一発行年月日、第一公表年月日の登録とは?」
著作権者、無名又は変名の著作物の発行者は、「第一発行年月日又は第一公表年月日登録申請書」(添付資料付き)をもって、著作物の題号を記載の上で第一発行年月日又は第一公表年月日を登録することができます。
これにより、反証がない限り、登録された日に当該著作物の最初の発行又は公表があったものと推定されます。
著作物の保護期間の起算点が公表時とされている著作物について起算点を公示することになります。

Q14c:「創作年月日の登録とは?」
プログラムの著作物の著作者は、「創作年月日登録申請書」(添付資料付き)をもって、創作後6か月以内に、著作物の題号を記載のうえ創作年月日を登録することができます。
これにより、反証がない限り、登録された日に当該著作物の創作があったものと推定されます。

Q14d:「著作権の登録とは?」
著作権は登録なしに発生します。
著作権の登録とは、権利の発生後において、「著作権登録申請書」(添付資料付き)をもって、著作権の譲渡などの移転や質権の設定等を登録することをいいます。
登録することにより第三者対抗要件を獲得することができます。
第三者対抗要件とは、例えば著作権の二重譲渡(複数の第三者にそれぞれ譲渡すること)がなされたとき、登録を受けている者に権利が認められるというものです。
著作権についての権利の変動は当事者同士の契約によって効力が生じるのですが、登録することによって取引の安全を確保しようとする趣旨です。

Q14e:「登録手続は?」
それぞれの登録申請書に必要な添付資料(必要に応じて、例えば、戸籍・登記簿の謄抄本、住民票の写し、代理人委任状、登録原因証明書(売買契約書など)、登録原因の第三者承諾書、登録の変更に伴う利害関係人承諾書又は裁判)を添えて文化庁長官あてに提出します。
また、初めて登録を行う場合には、対象となる著作物を特定するため、「著作物の明細書」を添付します。

≪著作物の利用≫

Q15:「著作物を利用できる場合は?」
著作物は、著作権によって保護されています。
しかし、第三者がまったく利用できなければ、かえって文化の発展に寄与することを目的とする著作権制度の趣旨に反しかねません。
そこで、文化的所産である著作物の公正で円滑な利用を図るため、著作物を利用しようとする者は、以下の場合に該当すれば、著作物を利用することができます。

・「法律上の著作権の制限に該当し、著作物を無断で利用できる場合」
・「著作権者から利用の許諾を受けて著作物を利用する場合」
・「著作権者から権利の譲渡を受けて著作物を利用する場合」
・「文化庁長官の裁定を受けて著作物を利用する場合」
・「出版権を設定する場合」

Q15a:「著作物を利用しようとする場合の事前確認は?」
他人の著作物を利用しようとする場合、次の手順で事前確認することになります。
事前確認の結果、S3において無断で利用できる場合でないことが判明しますと、著作権者などの権利者にコンタクトを取って利用について交渉を開始することになります。

・S1:その著作物が「わが国で保護」を受けるものかどうか?

⇒ 「No」ならば「著作権者の許諾なく」利用可
⇒ 「Yes」ならば「S2」へ進行↓

・S2:その著作物が著作物の「保護期間」内のものかどうか?

⇒ 「No」ならば「著作権者の許諾なく」利用可
⇒ 「Yes」ならば「S3」へ進行↓

・S3:その著作物は「無断で利用できる場合」に該当するかどうか?

⇒ 「Yes」ならば「著作権者の許諾なく」利用可
⇒ 「No」ならば「著作権者から利用の許諾又は権利の譲渡を受けて」又は「文化庁長官の裁定を受けて」利用することが必要

Q16:「著作物を無断で利用できる場合とは?」
以下の行為については、著作権が法律上制限されており、著作権者の許諾を得ることなく、著作物を無断で利用することができます。
ただし、著作権が制限される場合でも、著作者人格権は制限を受けないこと、無断で利用できる場合でも種々の例外が定められていること、にご注意ください。

<全般的制限>
・私的使用のための複製(個人的又は家庭内その他準ずる範囲内での複製)
・付随対象著作物の利用(撮影等の複製伝達行為の中で複製伝達対象事物等に付随して対象となる著作物の利用)
・検討の過程における利用(著作物の利用についての検討過程における利用)
・著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用(著作物の録音録画等の技術開発・実用化試験の用に供するなどの利用)
・図書館等における複製等(図書館利用者の調査研究目的に資する複製等)
・引用(公表済みの著作物の自分の著作物への引用)

<学校教育上の制限>
・教科用図書等への掲載(公表済み著作物の教科用図書等への掲載)
・教科用図書代替教材への掲載等(教科用図書に掲載された著作物の掲載等)
・教科用拡大図書等の作成のための複製等(教科用図書に掲載された著作物を拡大して複製等)
・学校教育番組の放送等(公表済み著作物の学校向け放送・有線放送)
・学校その他の教育機関における複製等(公表済み著作物の補助教材への複製等)
・試験問題としての複製等(公表済み著作物を入試・検定の問題として複製等)

<障害者支援上の制限>
・視覚障害者等のための複製等(公表済み著作物の点字複製等)
・聴覚障害者等のための複製等(公表済み著作物の音声文字化複製等)

<公共の利益上の制限>
・営利を目的としない上演等(公表済み著作物の入場料なし・出演料なしの上演等)
・時事問題に関する論説の転載等(新聞紙・雑誌に掲載された学術上のものを除く社説などの論説の転載等)
・政治上の演説等の利用(公開での政治演説、裁判・行政庁での公開陳述の利用)
・時事の事件の報道のための利用(事件の過程で現れる著作物の利用)
・裁判手続等における複製(裁判・立法・行政の内部資料としての複製)

<法律上の制限>
・行政機関情報公開法等による開示のための利用
・公文書管理法等による保存等のための利用
・国立国会図書館法によるインターネット資料及びオンライン資料の収集のための複製

<放送・有線放送上の制限>
・放送事業者等による一時的固定(放送・有線放送できる著作物の一時的(原則として6か月以内)な録音録画)

<美術・写真の著作物についての制限>
・美術の著作物等の原作品の所有者による展示(美術・写真の原作品の所有者は公に展示可。ただし、屋外に恒常的に設置する場合は許諾要)
・公開の美術の著作物等の利用(原作品が屋外に恒常的に展示された美術・建築の著作物の複製以外の利用)
・美術の著作物等の展示に伴う複製等(美術・写真の原作品の展覧会開催者によるパンフレット等への複製等)
・美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等

<プログラムの著作物についての制限>
・プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等(プログラムの滅失や毀損に備えたバックアップ・コピーの作成等)

<電子計算機での利用に関する制限>
・電子計算機における著作物の利用に付随する利用等
・電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等

<翻訳権、編曲権、変形権、翻案権の制限>
・利用できる著作物を原著作物とする二次的著作物としても利用可

<複製権の制限>
・複製権の制限により作成された複製物の譲渡可

Q16a:「著作物を無断で利用できる場合の注意事項は?」
著作物を無断で利用できる場合において、著作物を複製又は利用する者は、以下の点に注意する必要があります。

・出所の明示:著作物の出所を、複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければなりません。

・複製物の目的外使用等:目的以外の目的のために、著作権の制限の適用を受けて作成された著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によって当該著作物の公衆への提示(送信可能化を含む。)を行った者は、複製権を侵害したものとみなされます。

・著作者人格権との関係:著作権の制限下で行った著作物の複製又は利用は、著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈してはなりません。

Q17:「著作権者から利用の許諾を受けて著作物を利用する場合とは?」
著作物を無断で利用できない場合、著作物を利用しようとする者は、著作権者と交渉を行い、利用の許諾を受けることが一般的です。

交渉の前提として、著作権者を確認する必要がありますが、著作者が必ずしも著作権を有していない場合や(譲渡したり、相続されたりしている場合もあります)、支分権ごとに権利者が異なる場合などがあり得ます。
著作物を利用しようとする者は、自分が利用しようとする態様に応じた権利者を確認することになりますので、ご注意ください。

Q17a:「著作権者からの利用の許諾とは?」
著作権者は、他人に対し、著作物の利用を許諾することができます。
許諾を得た者は、許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、著作物を利用することができます。

許諾に係る契約書には、対象となる著作物、利用の方法、許諾の範囲、使用料などを明記することになります。
著作物を利用する権利(以下、「利用権」)は、著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することができません。

また、利用権は、その後に著作権を取得した者その他の第三者に対して対抗することができます(著作権者が変わっても利用権はそのまま有効という意味です)。

Q17b:「共有著作権の場合は?」
共同著作物の著作権その他共有に係る著作権(以下、「共有著作権」)については、共有者全員の合意によらなければ利用の許諾を含めて行使することができません。
各共有者は、正当な理由がない限り、合意の成立を妨げることができません。
共有著作権の行使については、代表者を定めることができます。

Q18:「著作権者から権利の譲渡を受けて著作物を利用する場合とは?」
著作物は、著作権者から著作権そのものを売買契約によって買い取って利用することもできます。
著作権は、財産権として、その全部又は一部を譲渡することができます。

ここで、著作権の一部とは、例えば、出版する権利、録音する権利、演奏する権利、放送する権利などのように、権利を限定して譲り受けることをいいます。
また、期間を限定したり、地域を限定したりすることも可能です。

なお、著作権を譲渡する契約において、譲渡した者に留保されたものと推定される権利があります。
以下の2つの権利について、譲渡の目的として特掲されていないときです。ご注意ください。

・「翻訳権、翻案権等」
・「二次的著作物の利用に関する原著作者の権利」

Q18a:「相続人の不存在の場合等における著作権の消滅は?」
著作権の存続期間は、別に説明しましたが、次に掲げる場合には、著作権は消滅します。

・著作権者が死亡した場合において、その著作権が民法の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
・著作権者である法人が解散した場合において、その著作権が関連する法律の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。

Q19:「文化庁長官の裁定を受けて著作物を利用する場合とは?」
公表済みの著作物又は相当期間にわたり公衆に提供提示されている事実が明らかである著作物は、利用することができる場合があります。
著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払つてもその著作権者と連絡することができない場合、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託して、その裁定に係る利用方法により、利用できます。

希望者は、著作物の利用方法その他を記載した申請書に、著作権者と連絡することができないことを疎明する資料その他を添えて、文化庁長官に提出します。
これにより作成した著作物の複製物には、裁定に係る複製物である旨及び裁定年月日を表示しなければなりません。

Q20:「出版権を設定する場合とは?」
著作権のうち「複製権」又は「公衆送信権」を有する者(以下、「複製権等保有者」)は、出版行為又は公衆送信行為を引き受ける者に対し、「出版権」を設定することができます。
具体的には、出版権者とは、出版社のことになります。

出版権者は、設定行為(契約)において定めた範囲で、対象となる著作物について、以下の権利の全部または一部を専有します。

出版権者は、著作権者と同様に、これらの権利を専有しますので、設定行為(契約)において定めた範囲において出版の独占権と排他権を有します。
出版権の存続期間は、設定行為(契約)に定めがない場合、設定後最初の出版行為又は公衆送信行為があった日から3年です。

なお、出版権者には、以下の義務も発生します。

<権利>
・頒布の目的をもつて、原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利(電磁的記録として複製する権利を含む)
・原作のまま記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信を行う権利

<義務>
・複製権等保有者からその著作物を複製するために必要な原稿の引渡し又はその著作物に係る電磁的記録の提供を受けた日から6か月以内に当該著作物について出版行為を行う義務
・当該著作物について慣行に従い継続して出版行為を行う義務

≪隣接する権利≫

Q21:「隣接する権利とは?」
著作権法では、著作物の創作者である著作者を保護します。
さらに、著作物を公衆に伝達するために重要な役割を果たしている、「実演家」、「レコード製作者」、「放送事業者」、「有線放送事業者」の行為を著作物の創作に準ずる行為として着目し、以下に示す隣接する権利を認めて一定の保護を与えています。

これらの権利の享有には、いかなる方式の履行も必要ありません。
すなわち、隣接する権利は、それぞれの行為が行われた時に発生し、特許などの産業財産権で行われるような権利の設定の登録という制度はありません。
また、後ほど説明します保護期間について、権利の維持のために登録料を納付するということもありません。

・「実演家人格権」(実演家)
・「著作隣接権」(四者共通)
・「報酬を受ける権利」(実演家、レコード製作者)
・「二次使用料を受ける権利」(実演家、レコード製作者)

Q21a:「実演、レコード、放送、有線放送の保護期間(著作隣接権の存続期間)は?」
それぞれの著作隣接権の存続期間は、以下のとおりです。

・実演:実演を行った時に始まり、実演が行われた年の翌年から起算して70年をもって満了

・レコード:音を最初に固定した時に始まり、発行が行われた(又は音を最初に固定した)年の翌年から起算して70年をもって満了

・放送:放送を行った時に始まり、放送が行われた年の翌年から起算して50年をもって満了

・有線放送:有線放送を行った時に始まり、有線放送が行われた年の翌年から起算して50年をもって満了

Q21b:「著作隣接権の制限、譲渡、利用の許諾、登録は?」
著作隣接権の制限、譲渡、利用の許諾、登録については、著作権に準じて処理されてます。

Q22:「実演家の権利とは?」
実演家とは、実演を行う者、実演を指揮演出する者をいいます。
具体的には、歌手、演奏家、俳優、指揮者、劇の演出家などが該当します。

実演家は、以下の権利を享有します。

・「実演家人格権」
・「実演家の著作隣接権」
・「報酬を受ける権利」
・「二次使用料を受ける権利」

Q22a:「保護を受ける実演とは?」
保護を受けることができる実演は、次のとおりです。

・国内で行われる実演
・保護を受けるレコードに固定された実演
・保護を受ける放送で送信される実演
・保護を受ける有線放送で送信される実演
・条約等により我が国が保護の義務を負う実演

Q22b:「実演家人格権とは?」
実演家人格権とは、実演の内容を変えて利用したりするような場合には実演家の人格的利益が損なわれるおそれがあるため、これを道義的な観点にとどめず法律上の権利として保護しているものです。
実演家人格権は、このような性格上、実演家固有の権利として譲渡することができない一身専属的な権利です。
実演家が存しなくなった場合(他界した場合)には、消滅します。
ただし、故人となっても、実演家が存しているならば(存命中ならば)実演家人格権の侵害となるべき行為はしてはならないとされています。

実演家人格権には、著作者人格権と同様に(公表権を除く)、以下のものがあります。

・「氏名表示権」
・「同一性保持権」

Q22c:「実演家の著作隣接権とは?」
実演家は、著作隣接権として、実演について、以下の権利を専有します。

・「録音権及び録画権」(レコードへの吹き込みや、そのレコードを増製などする権利)
・「放送権及び有線放送権」(実演を放送や有線放送する権利)
・「送信可能化権」(ホームページへ画像や動画をアップロードなどする権利)
・「譲渡権」(実演の録音物や録画物を譲渡により公衆へ提供する権利)
・「貸与権等」(実演の商業用レコードの貸与により公衆へ提供する権利。ただし、最初の販売日から1年間)

Q22d:「報酬を受ける権利とは?」
実演家は、報酬を受ける権利として、実演について、以下の権利を専有します。

・「放送される実演の有線放送に関する報酬」(著作隣接権未適用の代替措置として報酬を受ける権利)
・「貸レコード業者からの報酬」(最初の販売日から1年間を経過した商業用レコードを公衆に貸与した貸レコード会社から報酬を受ける権利)

Q22e:「二次使用料を受ける権利とは?」
実演家は、二次使用料を受ける権利として、実演について、以下の権利を専有します。

・「商業用レコードの二次使用料」(商業用レコードを放送又は有線放送した放送又は有線放送業者から二次使用料を受ける権利)

Q23:「レコード製作者の権利とは?」
レコード製作者とは、レコードに固定されている音を最初に固定した者をいい、以下の権利を享有します。
・「レコード製作者の著作隣接権」
・「二次使用料を受ける権利」
・「報酬を受ける権利」

Q23a:「保護を受けるレコードとは?」
保護を受けることができるレコードは、次のとおりです。

・日本国民をレコード製作者とするレコード
・固定されている音が最初に国内において固定されたレコード
・条約等により我が国が保護の義務を負うレコード

Q23b:「レコード製作者の著作隣接権とは?」
レコード製作者は、著作隣接権として、制作したレコードについて、以下の権利を専有します。

・「複製権」(レコードの直接的な再製や、放送を受信録音する間接的な複製を行う権利)
・「送信可能化権」(ホームページへの画像や動画のアップロードなどする権利)
・「譲渡権」(実演の録音物や録画物を譲渡により公衆へ提供する権利)
・「貸与権等」(実演の商業用レコードの貸与により公衆へ提供する権利。ただし、最初の販売日から1年間)

Q23c:「二次使用料を受ける権利とは?」
レコード製作者は、二次使用料を受ける権利として、制作したレコードについて、以下の権利を専有します。

・「商業用レコードの二次使用料」(商業用レコードを放送又は有線放送した放送又は有線放送業者から二次使用料を受ける権利)

Q23d:「報酬を受ける権利とは?」
レコード製作者は、報酬を受ける権利として、制作したレコードについて、以下の権利を専有します。

・「貸レコード業者からの報酬」(最初の販売から1年間を経過した商業用レコードを公衆に貸与した貸レコード会社から報酬を受ける権利)

Q24:「放送事業者の権利とは?」
放送事業者とは、放送を業として行う者をいい、著作隣接権として、以下の権利を享有します。

・「複製権」(放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、その放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他の方法により複製する権利)

・「再放送権及び有線放送権」(放送を受信してこれを再放送し、又は有線放送する権利)

・「送信可能化権」(放送又はこれを受信して行う有線放送を受信して、その放送をホームページへのアップロードなどする権利)

・「テレビジョン放送の伝達権」(テレビジョン放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、影像を拡大する特別の装置を用いてその放送を公に伝達する権利)

Q24a:「保護を受ける放送とは?」
保護を受けることができる放送は、以下のとおりです。

・日本国民である放送事業者の放送
・国内にある放送設備から行なわれる放送
・条約等により我が国が保護の義務を負う放送

Q25:「有線放送事業者の権利とは?」
有線放送事業者は、有線放送を業として行う者をいい、著作隣接権として、以下の権利を享有します。

・「複製権」(有線放送を受信して、その有線放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他の方法により複製する権利)

・「放送権及び再有線放送権」(有線放送を受信してこれを放送し、又は再有線放送する権利)

・「送信可能化権」(有線放送を受信して、その有線放送をホームページへのアップロードなどする権利)

・「有線テレビジョン放送の伝達権」(有線テレビジョン放送を受信して、影像を拡大する特別の装置を用いてその有線放送を公に伝達する権利)

Q25a:「保護を受ける有線放送とは?」
保護を受けることができる有線放送は、以下のとおりです。

・日本国民である有線放送事業者の有線放送
・国内にある有線放送設備から行われる有線放送

≪権利侵害≫

Q26:「権利侵害とは?」
著作権等の侵害とは、以下の行為をいいます。

このほかにも、海外からのいわゆる海賊版の輸入や日本国内での頒布、インターネット配信や電子化の進展に伴って生じる電磁的な無断の利用や利用可能ならしめる行為なども侵害とみなされます。
ただし、それぞれの権利に制限がなされる場合には、当該行為を行っても侵害とはなりません。

・「著作者人格権の侵害」:著作者の同意を得ないで著作物を公表等すること。

・「著作権の侵害」:著作権者の許諾を得ないで著作物を利用すること。

・「出版権の侵害」:出版権者以外の者が出版行為を行うこと。

・「実演家人格権の侵害」:実演家の同意を得ないで実演を改変等すること。

・「著作隣接権の侵害」:実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者の許諾を得ないで実演、レコード、放送、有線放送を利用すること。

Q27:「権利侵害されたときの対応は?」
権利を侵害されていると認識したときは、著作者、著作権者、出版権者、実演家、著作隣接権者は、まず、相手方の著作物の利用等の状況を十分確認し、自己の権利の対象物の利用等をしているかどうかを検討します。

その蓋然性が高いと判断されたときは、警告書(タイトルは「伺い書」でも何でもOK。)を送り、相手方の認識を確認します。
その後,相手方の反応次第で、「差止請求」や「損害賠償請求」を検討します。
新聞、業界誌、テレビ、ネット上の広告など、あらかじめ証拠を集めておくことも重要です。

ここで、著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権、著作隣接権の侵害にあたっては、過失は推定されません。ご注意ください。
これは、著作権等が当局の審査や設定の登録がなくても権利が発生することの反射になります。
産業財産権である特許権、意匠権、商標権は権利を侵害した者に過失があったと推定されます。

Q27a:「差止請求とは?」
著作者、著作権者、出版権者、実演家、著作隣接権者は、自己のそれぞれの権利を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、侵害の停止又は予防を請求することができます。
これを、差止請求権といいます。
侵害行為には、記載した直接侵害のほかに、予備的な行為や幇助的な行為などの間接侵害も含まれます。
差止請求には、侵害者又は侵害するおそれがある者に侵害の故意や過失があったかどうかは関係ありません。
なお、差止請求とともに、侵害行為を組成した物、侵害行為によって作成された物、侵害行為に供された機械器具の廃棄、侵害の停止又は予防に必要な措置(例えば、担保の提供)の請求もできます。

Q27b:「損害賠償請求とは?」
民法上の不法行為として、権利が故意又は過失によって侵害された場合には、生じた損害の賠償を請求することができます。
著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権、著作隣接権の侵害者に故意又は過失があったかどうかは権利者の側に立証責任があります。ご注意ください。

損害賠償請求にあたり、著作権、出版権、著作隣接権については、権利者の立証負担の軽減を図るため、損害額の算定方式を規定しています。

さらに、著作者、実演家は、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、著作者、実演家であることを確保する措置、名誉、声望を回復するために適当な措置(新聞紙上への謝罪広告など)を請求することもできます。

Q27c:「刑事罰は?」
侵害が故意かつ既遂の場合、侵害者に刑事罰が与えられることがあります。

著作権等は、特許権などの産業財産権とは異なり、例外の場合を除いて(123条2項)、親告罪ですので、告訴しないと適用がありません。
例えば、著作権、出版権、著作隣接権については、法人が故意に侵害すれば、直接的に侵害をした行為者が10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれらを併科に処せられるとともに、法人には3億円以下の罰金刑が科せられます。

また、著作者人格権、実演家人格権については、法人が故意に侵害すれば、直接的に侵害をした行為者が5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらを併科に処せられるとともに、法人には500万円以下の罰金刑が科せられます。