商標登録におけるコンセント制度について
令和5年、商標法4条が改正され、コンセント制度が設けられました(4条4項)。
(コンセント制度の導入 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp))
この制度について、ご紹介したいと思いますが、その前に、商標と商標登録について簡単に説明します。
商標とは、商売の目印になるものです。目印ですから、他者と区別できるもの、他者の目印と混同を生じないものが好ましいです。
商標には、文字列や、図形、図形と文字列との結合、色彩、音などがあります。
これを商標として、製造販売等をしたい商品や提供したいサービス等を指定して、特許庁に登録を申請します(「商標登録出願」)。
商標登録が認められない理由にはいろいろありますが、そのうち、「他人」の出願・登録商標と似ている場合、登録を認めない、という理由があります。
商品やサービスの出所が混同してしまうことを避けるためです。
登録を受けるには、その商標が「他人」のものでなくなれば良いのです。
ですから、その「他人」から商標を譲渡してもらうという方法があります。
また、自分の出願の名義を「他人」のものに変更し、登録されてから自分に戻す(アサインバック)という方法もあります。
しかし、商標の譲渡や名義の変更は、他人との交渉や商標の譲渡を登録するのに時間や費用がかかるため、もっと簡便な方法が求められていました。
そこで、今回、特許庁は、「他人」の商標に類似しても、その他人の同意を得ていて、かつ、その他人の登録商標との間での混同を生じるおそれがないものであれば、商標登録されるという制度を導入しました(商標法4条4項)。
同意を得ただけでは足りず、その他人の先行登録商標との間で出所混同を生じる恐れがないと判断された場合にのみ登録されます。
出所混同を生じるおそれがないものに限定している点で、留保型コンセント制度と呼ばれます。
このコンセント制度の導入は、2024年4月1日となります。